むしーの開発秘話
「むしーの ひゃくぱ」が発売となりました。
「むしーの ひゃくぱ」はコオロギだけで作ったエキゾチック向けコオロギフードです。
従来の人工フードは、ゲル状、パウダー状(あとで水を加えて練る)ものだったのですが、今回私たちが作ったのはコオロギだけで作って固めている点が違います。
原料や加工方法のおかげか嗜好性が強く、今まで人工フードを食べてくれなかった子達も食べてくれたという嬉しい声が届いています。
そんな「むしーの ひゃくぱ」が生まれたストーリーを紹介します。
昆虫食を作っていたら、できたのが「むしーの」でした。
そんな開発秘話をぜひ読んでみてください。
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バッタ肉とコオロギ肉
バッタ肉とは
TAKEOの佐伯さんが、代表の斎藤さんと一緒に群馬の本社まで足を運んでくれたときのこと。手土産として持ってきてくれたのが、バッタの肉でした。
しょっぱくて、ちょっと不思議なペースト状のそれは、いわゆる“昆虫食感”がない。思っていたよりも、ずっと美味しかったです。
バッタ肉は2021年に佐伯さんが着想を得て、開発。
「これ、コオロギでもやりましょうよ」
と、お願いをしたのがきっかけでスタートしました。
佐伯さんとしては、コオロギより他の昆虫(特にバッタ)を推していたので、乗り気というわけではなかったようです。
でも、開発を進めるにあたり、条件を変えて実験・開発をするのに量を用意しづらいバッタ肉は難しかったとのこと。
しかし、FUTURENAUTは群馬でコオロギを生産しています。
新鮮で美味しいコオロギを、ある程度まとまった量で用意できる体制がありました。
大量に安く手に入るコオロギは開発に適しているということに気づけたのも、おもしろいポイントでした。
早速、数キロ単位でコオロギをTAKEOに送ってみたところ、「美味しいものができました」との返事。
そして完成したのが「コオロギもも肉」でした。
https://x.com/takeo_tokyo/status/1781988881946292565
「コオロギのももだけを使ってるの?」という声もあったが、そうではなくコオロギだけ。
見た目を脚の形に寄せているだけで、実際はコオロギ全体を加工しています。
私も試食したが、肉でした。
食感が、肉。
「コオロギ肉」とは、なんなのか。
コオロギの“肉化”は、以前からいくつか試みられてきました。
たとえば西洋では、コオロギパウダーに水分を加えて成形する、もしくはエクストルーダー加工が主流である。でも、コオロギそのものを使って“肉”にしようとした例は、バグモくらいです(2022年)。
参考サイト
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000086027.html
https://www.kobe-np.co.jp/news/odekake-plus/news/detail.shtml?url=news/odekake-plus/news/gourmet/202209/15682207
今回のコオロギ肉は、佐伯さんが2021年から進めていた「バッタ肉」の延長にあります。 イベントではハーブを加えてアレンジされ、香りも良く、いくらでも食べられるような仕上がりでした。
SNSでも、美味しさと困惑が入り混じった声が上がっていました。
「豚肉と混ぜてるんじゃないの?」
「かなり肉でびっくり」
「コオロギ100%?!なのに肉感が凄い。意味が分からない。」
ただし、課題は加工の手間だったのです。
「もう少し簡単に作れないか?」といろいろ検討してみたものの、専用機械は非常に高額。じゃあもう手を動かそう、ということで、TAKEOの作業場で手作業による試験が始まりました。
夕方から夜中まで作業。22時頃には、3人とも妙なテンションで、コオロギをすり潰しては固めていました。
試行錯誤の末にいくつかの条件が噛み合い、コオロギを細かくできる加工方法にたどり着いたのです。
これが、コオロギ肉のver2です。
この新しいコオロギ肉を、群馬のイベントで振る舞うことにした。
コオロギ肉を惣菜にする
https://x.com/FUTURENAUT_Inc/status/1835931960553910422
場所は群馬県庁31F。TAKEOと上毛新聞と共催のイベントだった。
このときは、コオロギ肉を惣菜風にアレンジ。生姜や卵を加え、竜田揚げ風のナゲットにしました。
イベントでは、昆虫食に興味はあるけど食べたことがないというお母さんと、「絶対食べない」と言っていた男の子。けれど、コオロギナゲットなら食べてくれて、そのあとなんと、素揚げしたそのままのコオロギまで口にしていました。
「肉」は、昆虫食のひとつの突破口になり得るかもしれない。
が、これどう流通させよう・・・
コオロギ肉をヤモリに食わせてみた
「このコオロギ肉、どうしようか」と考えていたとき。ふと、うちで飼っているレオパ(ヒョウモントカゲモドキ)にあげてみた。
……めっちゃ食う。
これはいけるかもしれない。
そう思って、爬虫類飼育者にモニター依頼をしてみたのが、次の一歩だった。
https://x.com/FUTURENAUT_Inc/status/1921041700841021523
そして、むしーの商品化へ
ここからはどういった形で販売するかを社内でも議論し、ここからは飯島CTOが仕様について検討。
使いやすい大きさや、袋への充填方法、加熱方法などを何度も何度も検討し、できあがったのが「むしーの」であす。
むしーのは、音の響きだけではなく、「虫+イノベーション」、テストの段階では「コオロギを最初に蒸してテストした」という意味からつけました。
ロゴは、TAKEOのデザイナー土井さんに作ってもらいました。
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むすびに
これがむしーのが生まれた背景です。
人にとっては昆虫食はまだ嗜好品かもしれません。でもペットにとっては「必要なごはん」です。
人のために本気で開発したものを、ペットが自然に食べてくれた。
これは、研究開発にリソースをかけてきた昆虫食の会社だからこそ辿りつけた形かもしれないと思っています。







